シドニー生活

中年研究者のお話

I am impressed. -続

これは以前の記事の続き

今週の水曜はHonours talkですごく感動した。もうなんだか学部生とは思えないレベルだったから。オナーズたちなんと20代前半と若いのにも関わらず、他の学部生とは別にで素敵な経験をさせてもらってる。学部からの大いなる期待と暖かい見守りのなかで育ててもらえるこの大学のシステムは日本も真似たいものがあります。

 

このオナーズのスペックに心からビビったのは本当。アラフォーが一回り以上の年の離れた学生に感動することなんて日本にいてもなかなかなかったことだから。実際に日本で働いているときに学生を実習で受け持つことはあったけど、その時の実習生は年齢で言えばオナーズより1,2才上!なのに、オナーズの方がよっぽど責任感あるし目が輝いている。うん、背景が違うグループなので比べてはいけないのはわかっているけど、比べたくなるくらいの大きな差がある。

そもそもオナーズトーク感動に拍車をかけたのは、マスターコースワークの学生のプレゼンをその前日火曜に見ていたからです。

火曜-Capstone Conference (マスターコースワークの学生)

水曜・金曜-Honours Talk (オナーズの学生)

Capstoneは想像以上にカジュアルだった。マスターコースワークの学生は3人で1グループ、1トピックを取り扱い、1人の先生にスーパーバイズしてもらう。

私は興味がある2つだけ見るつもりで出かけたのだけど、進行が少し遅れていたので、最終的には4本見ることになってしまった。いま思うと、カンファレンスの進行レベルも大きな違いがあるよね。そもそもプレゼンは決められた時間内できっちり収めるのが基本だし...

  • Investigating resources which are available or may need to be developed to ensure visually impaired patient populations have access to meaningful medication lists on discharge (Sydney Eye Hospital)
  • NPS Medicinewise Phone Line Services (NPS)
  • Interactions between Industry and health professionals (NSW TAG)
  • Implementation of a professional heath service in a community pharmacy (Blooms The Chemist)

この4本を見たのだけど(かっこの中はスーパーバイズした先生の所属先)、2,3本目のスーパーバイズしている組織がすごい。この2つはオーストラリアの公の組織でかつとても大きい。医療サービスに関する大奥総取締役のような組織からも協力を得ているあたりが、この大学の卒業生の活躍の大きさをものがっている...

観客はスコアラーとして数名のスタッフが参加していた。そして先生たちも忙しいので、自分が依頼されたプレゼンだけを見てスコアをつけて撤収。最後まで通しで参加するのはUnit coordinator, assistant, Chairman, Deanくらいかな。  

ちなみにHDRはおそらくみにきていない。スーパーバイザーにCapstone Conferenceに参加したことを伝えたら驚かれた笑。日本で生まれ育ち留学経験もないまま社会人になりアラサーで独学で英語始めてアラフォーになってやっと留学をはたした私としては、オーストラリアの教育システムのその1つ1つを知り経験して評価することも大切で、しっかりと経験して持ち帰ることも自分の役目だと思っている。自分がこの環境にいられるラッキーは自己満足に終えるにはあまりにも勿体無い。全部体験してやる覚悟で1年のHDRのいまからいどんでます。だから1プレゼン15分くらいのことは何も問題ないと思っているし、研究の合間の休憩がてらコーヒー片手に話をきくだけでこの体験ができるのだから、むしろラッキーだ。参加しない手はないと思っている。この私のスタイルにはスーパーバイザーも驚くとともに理解してくれた。そしてDeanは私が見に来ていたことは気が付いている。1年目の私ですが「あいつ見に来ているんだ」と思ったと思う。それはそれで大切なアピールになったかな?どうかな?少なくとも日本人のこのシャイだけど勤勉さは伝わるといいな。

ちなみにメールはこれ↓

Dear All,

On behalf of the organising committee (T, J, M and H), I would like to invite you to the M---- Capstone conference for 2018. 

The program is attached, and it promises to be an interesting day, highlighting a wide range of research projects that the cohort has been involved in.

If you are free, your support would be appreciated,

Thanks,

T, J, M, H and D 

シアター後方の入り口から手ぶらにコーヒーでそーっと入ると「お前は誰だ?」的な目を周りにされたけど、全然気にはしません。私は公式にメールをもらっているし。

これがいざ聞くと、プレゼンは本人達なりに一生懸命なのは伝わるけど、一言でいうと学生レベル。プレゼン能力も学生のチュートリアル内のプレゼンレベルと大差はなさそうなのはわかるし、そもそものリサーチの内容もすごく浅い。質疑応答でのうけこたえからもジョークがカジュアルすぎて、あまり熱意も感じない場面あり。あまり深く考えてなさそうなかんじ。

そもそもうちのファカルティーは医療系なので、コースワークマスターの学生は資格を取るために来ている。これがこのオナーズとの大きな違い。そう、学生の質がそもそもちがう。

コース名のタイトルは

Master of ○○ (コースマスター)

Master of Philosophy in ○○ (HDR=MPhilリサーチマスター)

Doctor of Philosophy in ○○ (HDR=PhD)

上が今回のCapstoneの学生で、中が私のいるHDRです。

世間でオーストラリアで修士をとったと言う人のおそらく95%以上(ほとんど)は上のコースワークのことを話ているとおもう。IELTSをとったり、推薦状かいてもらったり、エージェントにお願いしたってやつ。そしてIELTSが足りない時はBridging courseを使用して大学附属の語学学校を決められた期間通えばIETLSスコアが免除されるシステム。

下のリサーチマスターはスーパーバイザーを自分でみつけて、その許可書とともに出願しなければならないので、大抵の人は厳しい現状かなと思う。スーパーバイザー獲得まで時間がかかるしIELTS免除も存在しない。全部自分でやるシステム。お金と人まかせのエージェント使用では無理です。なんでエージェントが無理かというと、エージェントは志望動機書や履歴書をお手伝いすることはできるけど、研究経験なしで出願書類のresearch project protocolを一緒に作るお手伝いできないと思う。イントロから始まりrational, method,...と専門的なものだからね。エージェントが例え手伝ってくれるとしても、エージェントにお願いする前に自分で日本語で研究計画書を作るのすら結構厳しい。私はこれかなり苦労した。だって研究経験がないからそれを学ばせてもらうのに、もう入学前から研究計画書を持って入学するので、入学前にその分野のレビューも必要だし、研究のタイムフレームを作るし、研究メソッドもどれが妥当なのかも全部事前に学んで考えないといけない。そして一番肝心なのが、スーパーバイザー探す段階で「スーパーバイザーになってくれませんか?」と同時に自分がやりたいことを説明しなきゃいけないので、Research protocolは英語版を持ってないといけない。出願時にResearch protocolは必要だけど、それ以前に作ってないとスーパーバイザーみつけにくいかなと率直に思う。HDRはおそらく自分で色々やれる人(英語が堪能かどうかではなくガッツがある人)じゃないと厳しいのが現実だと思う。(学部ごとに入学条件や卒業条件は異なるので、これは私のいる学部の場合です。そして個人の見解も入ってます。)

で、このCapstone conference はMaster of ○○という学位の学生が行ったもので、医療系の場合はヘルスサイエンス系の学士をもっていれば、だれでもMaster of ○○(医療系)へ出願できます。1.5年でコースワークを追えてその後国家試験の受験資格がもらえる。口頭と筆記を受けて合格後に、研修を1年近くうけてまた口頭と筆記を受けて、はれて医療従事者の国家資格をもらうながれ。だからこのコースワークの大学院生は移民目的の留学生やただただ安定職を手に入れたい人もいたりするのでは?ともとれる。でもでも、オーストラリアの中ではうちの大学が一番レベルが高いので、頭脳は良いはず。そして、同じように国家資格とっても、オーストラリアは日本以上に学歴社会なので、医療機関に就職する際は大学名で振り落としにあい、そして大学名の中から1.ローカル2.外国人になるらしい(聞いた話だとね)。シドニーで働きたい場合は、たった2つの大学にしぼりこまれるらしい...大都市はそうだけどオーストラリアの田舎にいけば全然働けるらしいのだけど、みんなやっぱり街にいたいよねって話。この今日書いている情報は100%かはわからないから話半分にブログを読んでもらえればと思います。

今回のCapstone conference, Honours talkで思うことは、私がコースワークの大学院生の最終発表でカジュアルすぎるとかリサーチが浅いとか感じたのは間違いだったと思うこともある。頭がいいのかどうかや能力のことではなくて、コースの目的が違えば、評価の視点も変えなければいけない。そう学んだのだ。

それにしてもオナーズのスペックの高さを知る良い機会になった。スペック以上に、これだけの努力ができる人間だということがすごい。あの若さでこのproductivity......時間をかけてるのはすごくよーーーーーーーくわかる。

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あと、これも書いておかないといけないなと。

オナーズだから頭がいいのだけど、果たして成績が良いこと=良いリサーチができる、そんなことはないと思う。頭がべらぼうに良くなくても、世に貢献できる人はたくさんいる。自分次第で、色々できるのは間違いない。運をも味方につけるような努力、不幸が多くてもひねくれたりすねたりしない努力、人を妬まない努力、などをすれば少しずつでも数年後が良くなるとまじで私は思っている。私はとてもラッキーだと思うことも大切。私の1人の力では今日まで生きてこれなかったからね。話はそれにそれまくって、深く重くうざい感じにはなったけど、オナーズが素直に素敵だと思うし、そのうらでは私の研究も世に貢献できると貢献するためにやっていると本気で思っている。オナーズには全然負けてないし負けている場合ではないと本気で思っている。笑。

精進します。

では。

 

今日はロイヤルナショナルパーク走破

28.02km, 1643Calories

お疲れ様。

同じコースなのに1週間前より1時間10分短縮できた。かなり走りつづけれるようになった。

やったね。