シドニー生活

中年研究者のお話

国際学会のアブストは何本だす?

国際学会の要旨

何が一般的なのかわからないことがある。

 

とある国際学会Aがあるとする。あなたはA学会でポスター発表をしたいと考えている。だからそのアブストを書いて締め切りまでにA学会へ提出する。そして後日、A学会からくる連絡でポスター発表の合否を知ることになる。

学会にもよるが、もちろんエントリーした全てがアクセプトされるわけではない。ホットなものが選ばれる、それは当然の流れ。

 

ところで、

 

あなたなら

何本アブストを

提出しますか?

 

「何本?」

「えっ?1本じゃないの?」

って思った人、私と同じ感覚〜

そうなのよ、一つの学会に3本とか出す人っているの?そんなことあるの?

それがいるんですよ!

どちらも間違ってはないの。別に学会にアブストの本数は制限されてないのだから、どうしてもその学会で発表したいなら数本出した方がアクセプトされる率は高まるからね(もちろん個々は違う研究データであることを前提)。

まぁ、考え方によっては3本分のオーラルまたはポスターにできるだけのデータを持っているということは研究者としてすごい。ところで、データ色々持っているからといって、同じ学会に2本・3本って出すの?やっぱり私にはなんだか違和感あったりする。

こんな学会のアブストのネタで一つで、「自分の常識が他人の常識とは限らない」と言うことを再認識する。逆を言えば、「自分の価値観を相手に押し付けないようにしないと」ね。留学はこういった自分と違う人を知ることができ受け入れることが出来るようになる、すごく勉強になる。

 

そもそもこの話は1年前にさかのぼります。

毎年9月に私の業界に関連した世界的に大きな連盟が主催するA学会がある。アブストは4月末の締め切り。この時期になると学生の間では「おまえA学会いく?アブスト書いた?」「オーラル?ポスター?」「PRSSエントリーする?」という日常会話がちょくちょくある。

その中に「何本アブストだす?」という会話もあった笑。昨年の私は普通に返答していた「1本だよ。qualitative studyのデータを仕様するつもり」とね。

 

当時の私はMPhil1年生で入学して間もなかったのでまだ色々なことに慣れてなくて、あまり他のPhDとの会話を深く受けとめず、会話そのものに必死だった。そして2年目の今年ようやく自分の中の違和感に気が付いた。「何本アブストだす?」この会話って変だよね。

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私「私A学会に今年行くよ。アブストを先週スーパーバイザーに提出したところ。あなたは行く?」

友人「うん。そっちは?何本アブストだす?」

私「一本だよ」

友人「2本だそうと思っていたんだ。でもいまそれを1つにまとめて1本にしようかなと悩んでいるんだ。」

私「一本にまとめるのはいいと思うよ。スライスするより1つにまとめたほうがインパクトあがる場合もあるよね。」

友人「そうなんだ。悩んでいてまだ2本にするか1本にする決められないんだ。全部作ってスーパーバイザーに提出しようかな」

 

昨日の午後、青空の下で日向ぼっこしてた時にPhD O君が偶然通りかかり世間話してたらA学会の話になり、やっと私は気が付いた。なんでアブストの数を聞くの?1本に決まっているやん?やっと気が付いた。私とは感覚が違うんだ。これって面白い〜。世には色々な感覚がある。

ちなみにこの会話「アブスト何本だす?」はOを含めて3人とした。

これには傾向みたいなものがある。3人ともインターナショナルで、パキスタン、スリランカ、インド、出身のPhD。そして3人ともP教授の学生さん。彼らは私もエントリーするA学会のアブストを2本以上出す予定。お国柄なのかスーパーバイザーの意向なのか不明。でもこの3人だけ本数を聞いてくる。

この3人以外のローカルやインターナショナルは「オーラル?ポスター?」あとはスタディータイプとかを聞いてくる。

うーん、なんでかな。どちらの感覚も間違ってない。この違いがなぜ生まれたのかは不明。確かにA学会はかなり大きい学会。ここでポスターに選ばれるってとても名誉あることなのかなといまになって思う。去年アブスト出した時は、倍率とかあまり気にしてなかった。今思うと超お気楽な私。人生初の国際学会でのポスター発表、英語のアブストに苦戦して、まずはアブストが書けるかどうかみたいなレベルで戦ってた笑。アクセプトされるかどうかなんて気にもとめてなかったよ、出せただけでもう学会でポスターが出来るものだと思ってたレベル。。。大ばか者だね。

今思う。もしかしたら私はラッキーなだけだったのかもしれない。よくよく考えると、オーラルでエントリーしたPhDの友人2人とも、リジェクトをくらってた。幸いにも、彼らはオーラルがリジェクトだけど、ポスターならアクセプトすると学会から申し出があり、もちろん2人ともポスター発表への切り替えを承諾して無事にポスター発表を終えた。

なんか今年で2回目。少し怖くなってきた。ばたつかずに、計画的にばたつかずアブストを書けたけど、アクセプトされなかったらどうしよう笑。

 

今日はシドニー最終日。明日から世間はイースターへ突入、私は日本へ一時帰国。あと1日頑張ります。

では。