シドニー生活

中年研究者のお話

ちょっと疲れているから雑談

まずは金曜のこと。

ビジターとのランチを終え、ビジターに大学案内をし終えたのは午後3時半。P1のレビュアーのコメント読みを再開し、どのように修正入れていくか対策をねっていたらあっという間に夜10時半。しかもここまでやって、全部のコメントに対する策は作り終える事ができなかった。

仕事を切り上げ自宅への帰り道で信号を待っている瞬間にふと思う。ストレスと過労がうつに変わる少し手前まで来ているなと。

30歳前後は本当によく働いていた。朝の7時半には働き、帰宅は夜12時だった。私は若い時期は一番学べる時期だから、たくさん働きたくさん学ぶ、これで良いと思ってた。現に、今もあの頃の経験が活きているから後悔は1ミリもない。ラクな方にラクな方に流れていった友人達よりは、いまは自身の仕事の幅が広がっているという実感もある。

あれから10年、私はシドニーにいて業種も変わった。HDRとしてシドニーで研究させてもらい、良いスーパーバイザーにも恵まれた。しかし最近の仕事に追われ続ける日々は精神的なきつい。プレッシャーや自己嫌悪や不安や孤独を抱えながら、でもやりたいことをやれているつまり「やり甲斐」だけで、いまこのハードワークをこなしている。若い頃のように夜中までやっていても、成長を感じられる瞬間はほんの一瞬。これだけやっても作業が進まないストレス。しかもやっている作業は未経験のことばかりだから、自信のなさからくるストレス。期限までに質が担保された物を作り上げれるかのストレス。英語はボロボロでも、今までの経験は誰にも負けないつもりでやってないと、一瞬でひねり潰されそうな感覚がある。

この感覚が、「うつ手前だから、上手く自分をハンドルしなさいない」という警告を発しているように思える。

そういえばコースマスターのときも、毎回期限ギリギリまで宿題に追われ、エッセイを読み直しては少しでも質を上げれないかと考えていた。今と同じようであれとは全然違うのよね。個人の成績というのは、世にはなんら影響を与えないからなのかもしれない。あれは完全に自己満足と言う話なんだと思う。いまは大人が大人と研究しているから、あの時と同じ学生なのにいまのポジションは責任感が半端ない。ただ、私と同じような熱でHDRが皆やっているかと聞かれたらNOだ。私の個人的な見解では、ほんの一握りの学生しかここまで思いを持って研究はしてないと思う。その事実もストレスの一つであることも、いま私がうつ気味になる原因の一つであったりもする。一生懸命、研究に取り組む事が間違っているような気がするときさえある(笑)

 

このながれで2週間ほど前に、あった出来事を書き残しておく。

モナッシュ大学のDeanとスーパーバイザーと私を含む3人のPhD と大学のカフェでお茶をしたことがあった。

彼は研究者として1流の1流だ。論文の半分はネイチャーだと言ってた。毎年ネイチャーとかうける(笑)間違いなく彼の分野では彼が1番らしい。

彼は今年Deanになり、スクールないの制度を変えたいらしい。彼はeducationとpracticeの研究はもういらないと。今いるこの分野のスタッフをあつめ、彼らの研究を「だからなんなんだ」「で、インパクトはなんなんだ」「大事な、そなインパクトを言え」と徹底的に自分の研究は重要なんだと言い張るスタッフの話を論破したそうな。こわっ!

正直私はPracticeの研究をやっているけど、彼に大賛成だ。スーパーバイザーにも本音は言えなかったけど、彼の話を聞いて納得でしかなかった(笑)

彼がやりたいことは、本当に意味のある研究にだけに予算をつぎ込めるシステムにしたいそうな。こういうパターンってきっと多くの敵を生むパターンだけど、私も彼に心の中で大賛成なんだ。←ということは私の研究は優先順位が低いことを認めているということになる。

やっぱり、サイエンスにはどんどん研究費を割くべきだも思うから。私のような研究はサイエンスに比べたらインパクトが薄いから予算下げはあり。プラクティス分野の中でも本当に必要度が高いものだけにしぼられればいいとおもう。プラクティスの研究者も危機感をもっと持つべきだと思うから。

とかね、日々の中でもDeanとお話する機会があったりと刺激をもらうこともある。だからこそ、ちょうどいま私のHDRの仕事量がピークな時期にも関わらず、今の自分のプロジェクトを終えたあとの今後の方向性を今から考えたりもして、余計にストレス抱えることになったりする。刺激が、良い方向に向く一方で、悪い方にもいったりする。

世の中にはすごい人はいっぱいいて、さっきの彼もその一人。すごい人は周りの常識にながされないよね。彼の場合だと、1番すごいなと思ったのは、創薬の基本antagonistとinhibitorのアプローチだけど、「そうじゃなくてもいいやん」ってとこから始まっている。それを聞いて、自身の中の直感を大切にしていきたいと思ったし、直感というものを感じられる自分でいつもいたいと思った。

 

金曜のことを書くつもりが、恐ろしいくらい長くなってしまった。疲れているけど、人生にはこんな日もある。自分で自分にプレッシャーをかけすぎないように、あれやこれやと考え過ぎないようにすることも大切ですよね。もがきながらも頑張っていきますねー。では。