シドニー生活

中年研究者のお話

金曜の雑談

「挑戦しない」という決断

昨日は1年前から応募したいと思っていた研究助成金の締切日だった。

これに応募しないことを決める決断を今月して、そしてスーパーバイザーへ報告して、、、今朝になると想像していたものとは違う感情だった。もうグラントに応募できなかった悔しさ消え去り、いま目の前に山ほどあるやりたいこととやらなければいけないことだけに気持ちが向いている。あれだけ悩んだことがこんな簡単に過ぎ去っていくなんて信じられない。「挑戦しない」という決断は、そんな決断自体があたかもなかったかのようになっている。こんな決断は今後も出来るだけしたくないと思った。

Morning Tea

今朝はMorning teaがあった。以前にも書いたけど、Faculty内で行われる挨拶や社交の場でもあるこのイベント、知り合いの少ないPhDの私がいくと結構息苦しくてきついものがある。参加者それなりにいるけど、全体のスタッフ数を考慮すると明らかに一部しか参加してない。だからこそきつい、仲間内で参加している感あり。

Dear all,

A reminder for tomorrow’s morning tea being hosted by our ** HDR Representatives. 

See you all for a cuppa @ 10am.

Regards,

M 

リマインダーのメールが来ていたけど、今日はモーニングティーをサボろうと朝から決めていた。ミーティングから戻ってきたスーパーバイザー「モーニングティーに顔を出そう、今日はHDRの主催だから」と。このときすでに10:20。

「遅刻なんだけどなぁ。自分の仕事したいからいきたくないなぁ」と心の中でぼやいたけど、笑顔でスーパーバイザーとノルウェーのK先生と3人で行って来た(今日は他のメンバーみんな登校してないのよ笑)。

感想→行ってよかった笑

腰が重くなるけど、やっぱりいくとそれなりに成果がある。やっぱり行かないより行ったほうがいい。いやいやだとしても、行く行為はとても大切だと痛感した。

雑談のなかで、励まされるストーリーがいくつもある。

K先生のPhDのときの話:

K先生は2012にノルウェーでPhD取得。マスターは若い頃にフランスで取っている。ちなみにマスターと博士の専攻は異なる笑。

このK先生の博士時代は忙しかったと。専攻も変えたし、一から入れなおす知識も必要だったりするからね。その頃はK先生には幼い娘が2人いて、そして妻は医学部に通っていた。PhD後半は妻がインターンシップのために違う都市へお引越し、6ヶ月の別居生活を送った。子供の年齢から逆算しても、2,3歳の娘2人の面倒を見ながらPhD生活を送っていたらしい。

すごいな。K先生も嫁もすごいな。そこには夫婦の挑戦に対する言い訳はなし!子供が幼いとか家事ができないとか言い訳にもならず、しかも2人ともその頃は30歳半ばまたは後半くらいでキャリアチェンジをしている。

PhD Sの話:

発展途上国出身の留学生S。マスターはマレーシアで取得。母国に帰国後、その分野で携わるも、自分の中の疑問がいつまでも消えず、PhD取得を考えるようになった。知識が足りないこと、そしてマスターで専攻した分野以外で自分が活かせる場所があるはず、この2つの疑問は彼女を変えた。そしてオーストラリア政府の奨学金を取得しシドニーへ来て先月末に博論を提出したところ。で、今日知ったのだけど、彼女はこの博論提出前の段階で5本のpublicationを持っている。しかもファクターはどれも2.5以上で、私や彼女の分野ではこれらのファクターをもつ雑誌もかなり限られている。要は、相当研究がしっかりしているということ。キャリアチェンジしたにも関わらず、相当よくやっている。卒業していま博論のレビュアーコメント待ち、6月に帰国予定。先週は数日メルボルンへ旅行したらしいが、遊ぶことなくいまも毎日登校していて、6つ目の論文を書いているらしい。

Sはいつも「believe yourself」と言ってくる。他の人は信じてくれなくてもいいから、自分のやっていること、頑張っていること、これらを信じてあげるようにしないとだめだよって。私はいまP1でかなり苦戦している。人生で初めての論文、かつ英語の論文なので、スーパーバイザーに提出して真っ赤になってコメントが返ってきた笑。そしていまだにP1提出にいたってない!Sはそれを普通だという。彼女も1本目は9回書き直したらしい。でも5本目の論文は、たった1回でスーパーバイザーのオッケーが出たらしい。「このまま頑張れば、最後は力付いているはず。だからがんばるのよ。」ってアドバイスをくれる。

 

みんな自分が頑張ったとか苦労したとか気軽に言わないけど、たまに会話するとひょんなことからそれぞれのストーリーが出てくる。やっぱりここまで来れている人なのだから、すごいに決まっている。すごいというのはポジションとかではなく、人としてすごいなと思うこと。アラフォーになって留学?とかアラフォーだからキャリアチェンジ?とか、よく日本に居るときに繰り返される会話はどうでもよくなる。やりたいときがやり時。行動を起こさないのもオッケーだけど、言い訳はしないようにしないとね。あと、出会う人に対して私は簡単に「すごいな」と思ってしまう、これをやめないとね。みんな爽やかにみえる、人生を楽しんでいるようにみえるけど、大変な時代や大きな決断をして戦ってきた人たちなのだから気軽にすごいとか言わないほうがいいのかもしれない。そしてそんな人たちはきっといわないだけで現在進行中の戦いがあるかなと思う。で、きっと数年後にその戦いが過去になるとさらっと語るんだろうな。まだまだ私のメンタルの成長が足りてない。まなばないとね。

 

いまコーヒーから帰宅。はぁ、モーニングティーに参加して、戻ってからは気分転換にブログ書いてやっと仕事始めたら今度は友人のコーヒーに付き合い、こうしてまたブログに戻ってきた。もう半日終わってしまった。この後はFriday Seminar2時からあるし、4時から他の先生に誘われているプレゼンに参加しないといけない、、、もう何も作業が進まない。あせってきたぞ。

特に4時からのプレゼンは、ベルギーのPhDの学生のもので、正直どうでもいいと思っている。先週オフィスへ来ていたので挨拶は済ませてあるし、カッコイイ爽やかな青年。うん、それだけ。私のようないちPHDの学生が参加しなくてもなんとかなるのでは?参加者はスタッフばかり。。。さぼりたい病が復活。

さぼりたい

では。