シドニー生活

中年研究者のお話

Ultra Trail Australia 100 に出場しました - 6

UTA100の話の続き

Ultra Trail Australia 100 に出場しました 1

Ultra Trail Australia 100 に出場しました 2

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1年半前からジョギングを始めて、とうとう100kmのウルトラトレイルも完走してしまいました。といってももう1ヶ月も前の話になる。なのに、いまだブログが完結できてなかった笑。こんどこそ、この話は終わるから、長くなるけどよろしく。

一番トラウマになった区間 CP4-WP

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この区間は今回のUTAで一番辛かった区間。トラブルもちょいちょい起きた。生きて帰ってこれてよかったと本当に思う。

ここからは友人がシェアしてくれた写真が突然少なくなります。夜なので何をとっても真っ暗だったらしい。

まずはCP4を出発してすぐにヘッドトーチの不具合が起きた。

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ライトをつけてもしばらくすると消えてしまう。これ3回繰り返したところで、ようやく立ち止まってライトを見てみる。バッテリーサインが少ないサインが出ていた。

なぜ?

単4を4本使用するタイプのライト。大会前日に日本でわざわざ購入してたパナソニックの新品を入れておいたのに・・・。3時間で電池がなくなるなんて不幸すぎる。

暗闇の中で、さっそく電池を交換を始めると、ヘッドトーチに入っている4つの電池のうちの1つが外れない。そーいえば、自宅でパナの電池に入れ替えるときも1つだけ電池が外れなくてピンを使って苦戦しながらはずしたんだっけ・・・。UTAの最中にピンなんて持っていない。とりあえず爪を引っ掛けようとしても全然うまくいかない。

少しすると後続のランナーがやってきたので思い入って声をかけた。

「助けてください。ヘッドトーチの電池を交換したいけど取れない。とってくれませんか?」

ランナーはカップルで、その女性の方が苦戦しながらもなんとか爪でひっかけて電池をケースから外してくれた。そして暗闇の中で座り込んでいた私を不便に思ったのか、電池交換完了してライトがつくことが確認できるまで、ライトでずっと私の手元を照らしてくれた。あの時のカップルさん、ありがとう。

ということで、やっと再出発。

バッテリー切れのトラウマからかヘッドトーチが気になって仕方がない。「もしかして自分がハイパワーで使用してバッテリーが切れたのでは?」と疑いはじめ、ヘッドトーチを外してハイパワーになっていないかどうかを途中なんども確認しながら進んだ。
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ホッとしたのもつかの間、CP4からは嫌気がさすほどの急な登り下りと階段が続きました。しかも急な階段は崖に這うように作られた鉄の階段。ステップの幅も狭いし急すぎてよろけたら大変なことになる。手すりをぎゅっと握りながら登る。しかもこの時は小雨で階段の手すりは少し濡れていて、自身の手袋が湿ってだんだん寒冷えてきた。

この区間が一番辛かった理由は階段地獄と冷えでした。

そしてトレイルが終わり公道にでました。UTAのコース下見で走ったことが道にいることに気が付いた。驚いたのが、極限に疲れていても、土地勘が少しでるだけで一気にメンタルが安定する。もう直ぐでWPだと思うだけでも足取りが軽く感じました。

コースの下見ってすごく大切!

公道とはいえ街灯はほとんどなく暗い。てくてく歩いていて次のエイド(Water point: WP)を目指す。思い切ってヘッドライトを頭から外してみた。いま思うとなんでここでヘッドライトを外したのか不明なんだけど、その時にたまたまめに飛び込んだのは「ヘッドトーチのバッテリー切れお知らせマーク」。

え?また?また3時間で電池なくなった。

これには相当ショックをうけた。もう電池は4つない。ほんの6時間で2回分の電池合計8本を消費してしまったのだ。

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ともあれWPに無事到着0:20。

友人がくれたこの写真ではWPには人がたくさんいるけど、レース後半を進んでいる私の時は5人くらいしかランナーいなくて閑散としてました。ここでは火で暖をとったけどとにかく寒かった。

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15分だけ休憩。休憩中にしたことは、メインライトをしまい、バックアップライトを準備して、そしてバックアップライト用の予備電池2個も電池切れに備えてポケットに忍ばせておいた。こんどこそライトが動いて欲しい。

CP4からWPまでの結果は、こんな感じ↓

区間距離 12.1km (12.1)

累計標高 +1516m / -1570m

ペース目標 17分/km (18.31)

WP到着予定 1:28 (0:20)

カットオフ 2:39

()カッコ内はガーミンによる実測値

区間距離は他の区間と同じくらいなのに、累計標高は倍ありました!そら、疲れるわな。

コース下見済みだった区間 WP-CP5

次のWP-CP5区間は下見していたコースなのでなんだか不安もなく、ただただ足を進めることができました。この頃は走れる状態じゃないのでとにかく足を止めずに早歩きです。

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Mandatory gear の1つであるバックアップ用のライト、これが調子よかった。

さすが

ジャパニーズクオリティー

ジェントス、ありがとう。

区間9kmのうち、後半3kmはロード。このロード区間はおそらく歩きながら寝ていた。眠気覚ましにカバンにいれてたレッドブルをのもうかと思ったけど、エイド直前で飲むのは効率悪そうなので我慢した。結果としてよろけては目が覚めるということを何回か繰り返した。

トレイルの時は足元をしっかりみてないと怪我するからぐっと集中しているけど、公道をあるくと単調だからつまらない。足を前にだしさえすれば転倒なしに前に進めるのだから、とにかく集中力はなくてもなんとなるらしい。これも始めて経験したこと。

このロードを歩いていいる頃は深夜2時過ぎ。昼間はかなり暑かったのにさすがに深夜は凍えそうに寒い。そして濃霧がひどかった。自身が真っ白な何かに囲まれている感じ、なんかへんな気分。1メートル先も見えないような怪しい視界のなかではヘッドトーチは役に立たない。だからヘッドライトを手に持ち替え、自分の足元だけを照らしながら進んだ。手で足元をテラスと、道のコンクリートはなんとか見えるようになる。

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CP5 3:10到着。

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ここでは自分のドロップバックが受け取れる。ドリンクとお菓子を補充した。

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友人がシェアしてくれたこれらの写真は賑わっているけど、なんども言うけど私の時間帯はガラガラ・・・。朝の3時は閑散としていた。

そして3時になると激寒。ここまでは長袖とウィンドシェルと大会規定の反射鏡のついた作業ベストを来ていたけど、CP5からはフリースも追加。これで寒さは落ち着きました。

WPからCP5、深夜にアタックしたこの区間はガーミンによると意外と楽チン区間だったみたい。累計標高は少ない↓

区間距離 9km (9.17)

累計標高 +359m / -422m

ペース目標 17分/km (16.56)

CP5到着予定 4:21 (3:10)

カットオフ 5:39 

()カッコ内はガーミンによる実測値

坂道を激下るだけの区間 CP5-AES 

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*縦軸1目盛100m, 横軸1目盛1km

この区間はFacebookでも一番話題になっていた、後半80km地点で下りが7km続き、一気に標高を600m下げるという場所。

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ここは霧またもや霧に悩まされました。急な下りなので膝がもう死んでいるのに最後のムチをうちながらとにかく下りました。CP5で眠気は飛んだはずなのに、この急な痛みを伴う下りでまた睡魔に襲われました。体が極限に疲れていると、こんな忙しいコースにいても眠くなるらしい。リュックに忍ばせてたレッドブルをちょこちょこ飲みながら下ることに。レッドブル、練習中にものんだことなかったけどかなり効きます!元気が出るし、眠気もとぶ!なんなら足の痛みを忘れられた!

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そうこうしているうちに、最後のエイド。EASへ朝の6:49に到着。

そしてこの区間、CP5のスタート直後に3人を抜いただけで、その後はランナーは前後ともに見かけることはありませんでした。ここで私の人生初のナイトランが終わりました。夜間パートは結局半分以上一人でとても孤独でした。

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友人がシェアしてくれた写真では夜だけど、私が到着した時はうっすらあかるくなってきてました。早朝は曇りで朝日が見えなくて、AES直前まで暗く、ライトが必須でした。

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ここにたどり着いた時は朝7時近い。ということで、大会2日前から控えていたコーヒーをここで解禁!砂糖入りのモーニングコーヒーいただきました!格別!

そしてここのエイドを一人で占拠し、15分休んでいざラスト区間へ旅立つ。ゴールはもうすぐそこ!

区間距離 12.8km (13.12)

累計標高 +520m / -960m

ペース目標 20分/km (13.22)

AEF到着予定 - (6:49)

カットオフ -なし

()カッコ内はガーミンによる実測値

CP5-GOAL

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ここがゴール前最後の区間。最後なのに標高は600mくらい上がります。この10キロもないショート区間はきつかった。

ここの区間で数時間ぶりに他のランラーをみかけました。前方にランナーが見えてきては抜き、見えては抜き、8人くらい抜きました。

そしてゴール!!

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区間距離 8.8km (9.57)

累計標高 +1381m / -827m

ペース目標 20分/km (16.35)

WP到着予定 11:53 (9:40)

カットオフ 11:54

()カッコ内はガーミンによる実測値

 

あー長かった笑。レースも大変だけどブログも大変だな。

1ヶ月前のことだけど、自分でもよく寝ずに丸一日動き続けたなと。

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いま思うとスタート時の写真はやる気満々。この日のために半年以上頑張ってきた。体力はまだ足りてないけどなんとか足を止めなければゴールできなくもないという作戦だけで挑んだようなもの、なんともお気楽だった。周りいわく「厳しいけどやれなくはないだろう」と。

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ゴールは翌日の朝。記録25時間46分31秒。2018年に始めてウルトラトレイルというスポーツを知り2019年にWorld Tour の1つであるUTA100を完走。

この長さのレースになると、途中はもはや気力との戦いのように思えた。足を引きずりながら歩くことを選ぶのか、足が痛いのを理由にレースをドロップアウトするか、この2択しかない感じ。なんのために痛いのに歩き続けるのかなんども自問自答。でもいざゴールすると気分がよい。トレランってメンタルの修行しているようなものでした。

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でも「こんな非日常の経験をまたしてみたい」と思えるから不思議。

 

ここからはレース後のちょっとした情報。

友人とグループで出場する方は参考になるかなと。

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ゴール会場にあるSeanic Worldの2階には、写真のようなスクリーンと選手が休める場所があります。ここで寝たり映像見たりしながら友人の帰りを待つことができます。

あとは、会場でレース後にシャワーも無料で浴びれます。自分のフィニッシュバックに着替えとタオルを入れておくこと。あと女性はドライヤーないので必要なら準備した方がいい。

他にも、ゴール後にドリンクや軽食(スナック、パン、スープ)などがいただける部屋があります。こちらも無料。

最後に、アプリを使えばランナーのArrival情報がみれるので、友人がゴール射程距離に入ったことが確認できます。私は友人と3人で出場して、先にレースを終えてた友人2人がゴールで待ち構えてくれました!花道をハイタッチしながらゴールする動画をとってくれました!これは感動!ブログに載せれないのが残念。でもリアルな思い出残せてよかったです。

 

 

これでアラフォーもとうとうトレイルランナーの称号を得ました。

次なる戦いは

Brisbane Trail Ultra  

距離110km

累計標高5562m

制限時間29時間

ITRA 5points 

UTA100より、距離は10km長く累計標高は1100m増え制限時間は1時間しか長くない。

うーん、これはやばい。

 

本業はPhD Candicdate。海外でPhD、これだけでも自分には十分な挑戦なんだけど、まだまだ挑戦します。

では。