シドニー生活

中年研究者のお話

ショック➡︎スッキリ

金曜は寝落ちしてしまったので、いま頑張って書きかけのブログを携帯で仕上げました。

こちら↓

 

前日は、変なことに巻き込まれてしまい、眠れなかった。ベットに入ったのは一時頃。悶々とした気持ちをどこにもぶつけることができなくて。。。

 

寝不足のまま大学へ到着してまずやったことは前日の続き。昨日みつけてしまった似ている論文をひっぱりだして、今回の査読原稿と照らし合わせてみた。やっぱり昨日みつけたイントロの中のある1つの段落が、他の論文と似ている。私の思い込みではないことを確信。

 

ちょっと、悶々としてしまうので、その後アポなしで一か八かスーパーバイザーの新しいオフィスを訪ねた。突然の訪問にスーパーバイザーは驚いた様子、しかも話があると私が伝えると「今すぐ話をしよう。時間は気にするな。」って(笑)

(゚∀゚)超おおごとになってる感あるけど、これを話せるのはスーパーバイザー以外にいないの。

もちろん、著者らの個人情報には触れず事情を説明。スーパーバイザーからのアドバイスは、「エディターへ報告すること」だった。想定範囲内のアドバイスだけど、話が聞けて参考になったし、何よりこの最低な出来事を誰かに吐き出すことができて気分がとてもスッキリした。今のところ、アドバイスを取るかどうかは私次第なのでまだ決めてない。

 

報告方法

・レビュワーのアカウントからエディターへ連絡

・査読業務とは別件で個人メールでエディターへ連絡

私のレビュワーアカウントには、エディターへコメント(任意)を書く欄がある。ここは、他のレビュワーや著者には公開されることなく、私から個人的にエディターへ連絡とることができるのだ。しかし、例え外部に公開されないとしても、この欄に何かをかけば少なくともジャーナルのアカウント上にレビュワーとエディターのやりとりの歴が残るから、内々にしたい場合は個別にエディターほメールするほうが良い。メールの場合はもう少し踏み切ったことが書けるから。

m(_ _)mスーパーバイザーの意図はわかりました。あまり波風立てるようなことはするなってことだよね。今回の私の仕事は査読なので、原稿の査読だけをして、査読以外のことはエディターに全てまかせる。

m(_ _)mでも私の気持ちとしては、バレないとおもって丸々同じ文章を盗用した著者らに対してこちらが何を配慮する必要があるのか?と思うのです。しかも著者らが盗用した論文はIFが高く、著者らと同国で研究セッティングも同じもの。それをバレないと思ったのか、引用なしに書き写すのはありえない。

 

はぁ。次に、言葉の選定。「Plagiarism」などの言葉は使わないこと。ダイレクトで伝えない方がいいみたい。Academic dishonestyに関連する用語は強すぎるみたいだけど、、、何でだめなの?私が理解したのは、例え盗用が事実でも、私の伝え方で、エディターの私に対する印象が変わるから注意しろってことだと。

具体的には、I am concerned about....って感じで書き始める。続いて「私はこの原稿に似ている論文を知っています。確認してください。判断はおまかせします。」

(TдT)え?(笑)えー!オブラートすぎん?って思っちゃった。

私がなんでそんな優しくしきゃいけないのか?と不満を伝えたところ、百歩譲ってこう→「私はvery very similarな論文を知ってます」。

(TдT)え?うそでしょ?嘘って言って〜!veryを2回入れただけでこれで最大なの?もう全てが嘘のようにマイルドなアドバイス。

 

スーパーバイザーの最大の武器は人柄なんです。どんな状況でも感情を表に出さずにいつも穏やかで落ち着いているところ。そして、人と人をつなげるのがすごく得意です(国内国外問わず)。そんな人との関係を得意とするスーパーバイザーがくれたこのアドバイス本当に正解なの??って思ってしまう。私はかなり未熟者です。。。

 

今回、私からスーパーバイザーへ質問が1つありました。それはジャーナルが盗用を発見するためのソフトウェアを使用有無について。

シドニーでは、学生が提出したエッセイは全て盗用確認するためのソフトウェアを通してから採点します。

これにより、学生のレポートが既に世に存在するのドキュメントとどれくらい似ているかを%で判定することができます。

例えば、学生Aが、数年前に学生Bによって提出されたレポートの一部をコピーした場合、大学はすぐに気が付きます。「学生Aのレポートのこの箇所は学生Bのレポートと38%似ています」と知ることができるソフトは、publication、過去の学生のエッセイ、ウェブサイトも幅広く網羅しているので、これによりカンニングを確認しているのです。ちなみに大学の採点者は〇〇%までの盗用はオッケーといった具合に基準をもうけています

話を戻すと、こんな便利なソフトウェアがあるにもかかわらず、なぜエディターは今回の件に気が付かなかったのか?これが疑問でなりませんでした。

スーパーバイザーいわく、もちろんジャーナルはそのソフトウェアを持っているそうです。ただし、全ての原稿にかけているわけではないようでした。だから今回の件、エディターに1言伝えたら、エディターが1クリックすれば終わる話だそうです。

m(_ _)mソフトウェアをもってるなら、最初からやってほしかった。私がエディターならソフトウェアに毎回原稿をかけるけどね。シドニーでは大学生相手に例外なくやっているし、だったらジャーナルもなおさらやるべきだよね。一度Publishされたら永久に残るものなのだからさ。この事実をしって、今回の件はエディターの怠慢も少しはあるのかなって感じてます。

 

あと、どうしても困ったことがありました。

本来は載せてはいけない内容が原稿内に含まれていました。具体的にはオーサーシップに関する情報。

原稿に著者らの情報を含めている時点で、著者らはサブミットする際、authors guideをしっかり読んでいないのは明らかです。しかもインストラクションにも従ってはいません。というか、残念ながら、これは著者らがauthors guideを読む読まない以前のレベルである可能性を示唆しています。著者らは論文のマナーやお作法がそもそもわかっていない可能性があるのです。原稿に著者を特定できる情報を入れるということは、査読はダブルブラインドにならないことを意味します。査読する者が、誰が書いたか分かるとバイアスが入ってしまいますから、厳正に審査できなくなります。。。今回のジャーナルはダブルブラインドをとってますが、例えば私が憧れているジャーナルBMJ quality and safety(IF約8)はトリプルブラインドです(エディター、レビュワー、著者全てがふせられた状態で審査が進みます)。無数にあるジャーナルのなかでも、一握りの権威あるジャーナルはこうしてひと手間かけて、できる限りバイアスを減らして厳正に審査をおこなっているのです。少なくともダブルブラインドはスタンダードなので、著者らがなぜこんな事をしたのかは不明です。

私は今回査読依頼を受けたジャーナルに投稿したことがあるので知っていますが、何度かアップロードする際は著者を特定できる情報が入っていない事を画面で確認されていました。例えば、原稿や原稿内のグラフをアップロードする際に、ファイル名に著者の名前が含まれていないか聞いてきます。私は普段スーパーバイザーとやりとりする際、ファイル名は「タイトル+私の名前」を必ず入れているのでうっかりしないように注意してアップロードしたのを覚えています。著者の名前が含まれるファイルは、editorへのレターと、オーサーシップのファイルです。これらは著者のデータを含むので指定した提出方法に従う必要があります。

実は、著者らが今回原稿になぜオーサーシップを含めてしまったのか、少しだけ想像がつきます。私はサブミット時にオーサーシップをアップロードするのを忘れました(笑)。というのもアップロードページのチェックリストにはオーサーシップの項目がなかったから、うっかり忘れてしまったのです。正直なところ、忘れていることすら気が付かなかったのです。レビュワーズコメントが返ってきた時に指摘されて初めて知りました(笑)。確かにオーサーシップを明確にするようにってさらっとガイドには書いてあったけど、アップロードページリストにもなかったし、アップロードする際はタブにオーサーシップの項目がなかったので、気がつけなかないまま進めてしまいました(泣)。してきごは、レスポンスレターを返す時に、オーサーシップファイルを独立してつくり、その他の区分でファイルをアップロードしています(オーサーシップのタブが見当たらなかったので)。この経験から、著者らはオーサーシップを提出するのはわかっていたが、タブにオーサーシップはないので、原稿に含めちゃったのでは?って推測しています。現に、このジーナルのPublishされた後の記事をみるとオーサーシップが原稿後半に載っていますしね。とはいえ、あれだけ原稿には個人を特定できる情報はあれだけ入れるなと言っているのに入れたのはなぜかはわかりません。ようは確認をせずに、何となくでやったことでこんな事が起きたのだと思います。

そもそも、これはエディターの責任でもあります。レビュワーに原稿を渡す前に、個人を特定できる情報が含まれていないかを確認し、あれば削除してからレビュワーに送るべきです。 

もっというと、エディターより前の段階、ジャーナルのデスクの人が全ての書類は整っているか、分野が正しいのか等をチェックしてから原稿をエディターへ渡すべきなのです。

 

今回色々なタイミングが重なり、私は盗用を見つけただけだなく、盗用した著者らの名を知ってしまいました。ここでは著者らに関する情報はお伝え出来きないのですが、言えることは彼らは日本で著名な方です。しかもファーストオーサー、ラストオーサーの2名は大きな組織の倫理審査を取り締まるグループに所属し議長や委員をしています。そのようなポジションを持った者が、ハゲタカならまだしも、まともな国際誌に堂々と盗用した論文を投稿したのです。きっと今回はPublish前なので、彼らが母国の者に知られることはないでしょうし、母国からペナルティを受けることもないでしょう。ただ、この現実を知った私はこの世界に対して正直very very disappointedです。そして、自欲のために研究を利用する人をとても軽蔑します。バレない、やったもん勝ちの人達はこの先にまた同じことを繰り返す可能性があります。もしかしたら基礎研究のようなデータ捏造に比べたら、文章の盗用なんてものは小さな事なのかもしれませんが、これはルール違反です。いつか何かの形で彼らが制裁を受ける日が来てほしいと願っている自分がいます。以前ブログに5月頃だったでしょうか、とてもショックな事が起きたと書いたことがあったと思います。あの時も久しぶりに起きてはいけない事が起きました。今回のとは違う内容ですが、あれも研究がらみの研究者として最低な話です(こればかりはブログでは1ミリも書けない内容、というかすぐにバレそうなのでお伝え出来ないのでごめんなさい)。あの時も思ったけど、人として絶対に越えてはいけないラインを越えてしまう人の側には絶対に行きたくないと改めて思いました!地位もお金もズルしてまでは欲しくはないも思うのは私だけでしょうか?多くの人を騙せても、本物の人がみたらイッパツでバレるようなことはしないほうが懸命です。表面的に周りを騙せても、とても格好悪いですよね。私はまだまだ研究の世界では未熟だけど、真面目にこれからやっていきたいです。無理に自分を大きく見せたいとは思いませんし、ふんぞり返って偉そうにしたいとも思いません。

 

とりあえず木曜夜中に起きたショックな出来事はスーパーバイザーへ吐き出すことで、スッキリしました!今は悶々としておらず、元気に過ごしております!予定通り来週以降に査読を開始します。もちろんできる限り、著者らの事は意識しないようにして、公正に査読任務を終えたいと思います。


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今朝はここのラテをのみました。

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今日の店員さんは、フレンドリーな黒人のお兄さんでした。色々お話できて楽しかった!今朝、ふと気がついたけど、アメリカによくいそうな黒人の方ってシドニーではあまり見かけません。多民族なのに〜いままで気が付かなかった!大学でもあれだけスタッフも学生もいて黒人の方がいな〜い!なんでかな?

 

お兄さんと話したあとは、私のシドニー生活では初めてのことをした。

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アジア系のパン屋さんに行ってみたのだ。私には大冒険。

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Japanese Curry beef donutを買った!

カレーパンって英語でドーナツなの!?(笑)

(゚∀゚)知らんけど。

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お家帰ってから食べたら驚き。

(゚∀゚)うましら〜

機会あればまた買うかもしれません。

では。