シドニー生活

中年研究者のお話

P2の旅- 29 Publishing agreementを提出

前回の続き。

pskusg.hatenablog.com

 

publishing agreement をようやく手にいれた。これを提出すればP2のプルーフへと進むことができる。

 

受け取ったのは2月12日土曜22時半。

疲れていたけど、さっさと終わらせたかったのでこのタイミングですぐに手続きを進めることにした。この時の私、同意書は所詮チェックボックスにチェックを入れるだけの簡易的なものだろうと思い込んでいました。ところが違ったのです。publishing agreement を提出できたのはここから2日後の2月14日月曜13時。

 

今回は

良い意味の

ハプニング

でした!

 

なんと、

P2、

無料で

オープンアクセス権を

げっとした!

 

 

 

ぎゃーーーーー!!

 

 

35万相当のサポートを

無償で受けれることになった!

私ってば強運!

 

 

まずは、オープンアクセスについてざっくり説明しますね。

ジャーナルは2タイプあって、

  • open access journal
  • closed access journal

openはその名の通り、ジャーナルに掲載された論文は無料で公表されます。誰でも閲覧することができるけれど、著者が非常に高い投稿料を払う必要があります。ジャーナルにより差はありますが約30-50万円が相場といわれています。

世の中には無数のオープンジャーナルが存在しその大半はハゲタカやほぼハゲタカだとも言われている。投稿料が欲しい出版社と国際誌へ投稿したい研究者の間でwin-winが成立しているので毎年新しいopenジャーナルが生まれています。open journalはアクセスの良さから引用数がのびやすく、ハゲタカでもImpact factorは3-5とかざらにあります!!採択率も100%に近いジャーナルもあったりします。

例えば、私の友人PhD留学生A(インド人)の話。友人AはIndian open journalを持っていて、自身はチーフエディターもしています笑(←PhDもってなくても学術誌作ってchief editorをやっている)。Aの友人B(こちらも私の友人で同じ大学のPhD)はPhD在学中にAのジャーナルのexective chief editorに就任!ぎゃーーー。それくらい学術の業界ってあやしいことが溢れているので注意。

例えば、私へ毎週送られてくるメールたち、「いま我がジャーナルへ投稿すれば100%アクセプトします」「我がジャーナルの査読をやってくれたら我がジャーナルの投稿料を50%オフにしますよ」「いま投稿してくれたら30日以内にpublishしてあげますよ」といったメールはこのような怪しいopen journalからきてます。

だけどこれだけは言わせて!!!open journalが全て悪ってことではない!一握りのopen journalは権威あるジャーナルです!!

 

closed access journalはネットによると「articles in closed-access journals are initially only visible to people at institutions which have a license for these specific journals」。掲載料は無料。ジャーナルへアクセス権を持っている人だけが論文を閲覧することができます。アクセス権を持っていない人は、個人会員になる又は読みたい論文を1本単位で購入することになります。

ここだけ聞くと、closed に論文が掲載された場合、読者層が限定されるので論文の引用回数がめちゃくちゃ伸びにくいという最大のデメリットがある。しかし権威あるジャーナルの大半はclosed。Impact factorが二桁ジャーナルもあれば、Impact factor2でも採択率が低いジャーナルもある。

ある程度のレベルの大学に所属する者にとってはジャーナルがオープンかクローズかはさほど問題ではないのです。良い大学は様々なばしょと契約しているので、そこに所属さえしていればなんでも閲覧できるから。だからオープンかどうかではなく、権威あるジャーナルに掲載されているかされるかのほうが大切だったりします。現に私も大学で論文の話になるとすぐに「which journal?」ってきかれます。

例えば、スーパーバイザー、「全員に読んでもらう必要は0」と言い切ります。ジャーナルにアクセスがないような大学に所属している者に読んでもらうために研究していないということ(←結構上から目線の強気な発言ですよね笑←スーパーバイザーってこわいぜ)。「ジャーナルの質」「引用してくれる人の質」があって、初めて「引用数」が大切らしい。引用数が欲しくてたまらない政治家のようなスーパーバイザーが「どの層に届けるか」を問うとなぜか説得力があるのです笑。

closedのジャーナルに関しては、実はもう1つオプションがあります。アクセプトされた後、著者がお金を負担することで論文をオープンアクセスに切り替えることが出来るのです。私のP2のジャーナルの場合は約35万円払えばオープンにできる。

Article-processing charges (APC)

Authors who choose to publish open access in ーーー are required to pay an article-processing charge. The APC for all published articles is as follows, subject to VAT or local taxes where applicable:

£2290.00/$3390.00/€2690.00

 

ざっくり説明といいながら、だらだら説明しちゃったけど、まぁそんな感じ。あくまでも私の分野の話、あくまでも私がここで学び経験したことを書いているのでさらっとながして読んでほしいです。

 

 

では、本題はここから(←?え?前置き長すぎ?)

P2はclosed access journalにアクセプトされました。だからP2はオープンになる予定はなかった。

結果的に、publishing agreementの手続きを進めたら、£2290.00/$3390.00/€2690.00免除でオープンアクセルに切り替えできることが決まりました!

 

 

publishing agreementの最初の項目は「所属先」の入力でした。

入力後、ややこしい画面がでた👇👇

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まず、宛名がDr!

私はコース修了証も学位もまだもらってないのになぜ?

 

次に、Open access at no cost to you!

費用負担0でP2をオープンアクセスへ切り替えることが出来る

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えー‼️すごくお得‼️

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ぎゃーーーーーーー!

 

でもこんな儲け話なんてある?

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怪しすぎる。。。

なんだかんだ上手いこと言って後からお金請求するやつでしょ?

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私の性格上、儲け話はとことん信じない。だけど読み進めてみるとそれらしいことが書いてある。

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オーストラリアの団体がジャーナルとなんか契約したらしいよ。それにより、オーストラリア・ニュージーランドの大学に所属する者は、団体が契約結んだジャーナルへ論文を掲載する際、オープンアクセスへ切り替える費用をサポートしてくれるらしい。

 

読めば読むほど私には得しかないこの案件、

m(_ _)m

ありがたい。

 

それでも「YES submit for approval」を押す勇気がない。だって一歩間違えば30万とぶからね。ここからYESするまで3ステップかかった。

 

①スーパーバイザーへ確認

ご意見番なら知っているだろう。スーパーバイザーのアドバイス👇

This looks like a great opportunity to have the paper as an open access, without charge. If this is the case, then yes, please take this option.

I hope that you are doing well. How are you?

Also, until my project manager, ○○, is assigned a desk space, I hope that it would be ok for her to use the badham office. 

Kind rgds

無料ならいいんじゃない?って。この案件は初耳っぽい反応だよね?

 

②友人の論文を確認

同じ大学の同じ分野にいるPhDのMちゃんの論文が私と同じジャーナルに掲載されいることを知っていた私、早速Mちゃんの昨年パブリッシュされた論文を確認してみた。クローズドのままだけど!えー!Mちゃんはこのオファー受けてないの?それとも今年から開始されたサービスですか?

 

③共著者へ連絡

最後に日本人の意見を聞きたし!共著者の先生は「怪しくない」「ガチのやつに見える」と言っていた。

 

心は決まった。

もうけ話が目の前に転がってくることもあるのだ

ようやくオファーを受け入れることにした。

 

「YES submit for approval」

をポチっとな!

YESを押した次の画面👇👇

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役人かどうかを確認された(笑)。凡人なのでもちろんneither of the above。

 

そして2月14日月曜18時、結果が届いた👇👇

大学に承認されたみたい👇👇

Dear Dr. ○○,

Your affiliation has been confirmed by (大学).

Before we can proceed with the publication of your article in (ジャーナル), we first need you to complete the appropriate publishing agreement.

 

大学承認後に来た来た来た!

👇最後はこれ👇

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(^_^;)丁重にお断りさせていただきました。

カラーを希望する場合は追加料金がいりますって話。カラーとモノクロで料金違うの?今時そんなことあるんですね。

 

ということで、大学承認を受けた後、追加料金のオプションを拒否し、無事にライセンスが送られてきてagreementしました。

 

手続きは初めてのことばかりで不安だったけど、最後は無料のオープンアクセス権を獲得することができて嬉しい限りです!先ほどスーパーバイザーに報告したら「fantastic」って!

 

これにてP2のagreementは完了。あとはプルーフを待つばかりです。

P2アクセプトから1ヶ月半たった(笑)。いつパブリッシュされるの(笑)。

では。