シドニー生活

中年研究者のお話

すべてはThe stepped wedge cluster randomised trial のせい

4人(PI, CI, PM, 私)の打合せが終わった。

心もおわった。

(-_-)

 

今日のブログはいつも以上につまらないネタかつ意味不明な話になるので、本当につまらない話になると思う。私がいまどっぷり肩まで使っているプロジェクトのことに関して色々吐き出すからさ。ごめん。

m(_ _)m

 

PMが大学の専門家にコンサルを受けた件、

なんとPIとPMの二人で受けたらしい。「レッドキャップにが良い機能がたくさんあるぞ」とか説明されて・・・。えーっと、CIも私も既にそれらの機能は知っているし、我々が現在テストしているのはアドバンスドの機能なんですって想定範囲内の流れから打ち合わせはじまった。

 

結果的に担当者のコンサルを受けたほうがいいとPIがいうからもちろんアグリーしました。今度4人(PI, CI, PM, 私)で一緒にレッドキャップ担当者のコンサルを受けます!

ただし、私から条件を伝えた。

「こちらが出来ることをやりつくしてから、担当者と日程調整をしたい。」

私はレッドキャップの専門家と話す機会があるなら、具体的な質問の時間にあてたい。ざっくりとプロジェクトのデータコレクションのアドバイスなんて時間の無駄。私の条件にCIも賛同。顔合わせやジェネラルなアドバイスなんて我々に必要ないと。

 

 

ところでなぜ私がレッドキャップの機能をテストすることにてんてこ舞いかというと、すべてはこのプロジェクトのデザインのせいなんです。

このプロジェクトのデザインは

The stepped wedge cluster randomised trial (SW-CRT)

です。

このデザインのせいで、レッドキャップの数ある優秀な機能がどれもシンプルに使用できないのです。ちなみにレッドキャップって最高にクールなアプリだと思います!もうね、かゆいところに手が届く機能しかないのよね。

 

話を戻して、研究デザインの話をするとね、

 

普通のRCTの場合は、定められた研究期間に患者をリクルートしデータ収集をします。研究に必要な総患者数(サンプルサイズ)は事前に計算され、この数を目安にリクルートが行われます。例えばリクルート期間中に合計2112人をリクルートするなど。

 

一方、我々のStepped wedge CRTの場合は、定められたピリオドごとに一定数の患者をリクルートしなければなりません。

具体的には我々のSW-CRTは、毎月24名の患者を24ヶ月間継続的にリクルートする必要があります。正確には22カ月継続的に24名をリクルートし、2年間の中で特定の2カ月間(Transition period)はリクルート一旦中止します。

プロジェクトは全部で4クラスター(シドニー・ニューカッスル・ブリズベン・ブロークンヒル)あります。つまり、各エリアで毎月24名の患者を24ヶ月間継続的にリクルートしデータコレクションを行うことが求められます。

(毎月24名×22か月間×4エリア=2112名)

特定の月の特定のエリアの患者数が極端に多いのはNGです。

 

私とCIが考えるこのプロジェクトのデータコレクションのカギは、①4エリアで毎月24名のリクルートができたか②その患者のデータコレクションは終了しているか、この2点をタイムリーにモニターすることだと思っている。このデザインが崩れたらプロジェクトの質は一気に下がる。それを回避するためにはリクルートとデータコレクションの進捗状況を月単位・エリア単位など詳細にモニターできるダッシュボードが重要と考えている。だからWebアプリの開発が必要。

 

ダッシュボードを利用することで、シドニー担当のRA(リサーチアシスタント)が月末になっても24名リクルートできてないならRAをプッシュすることが可能になる。たとえ24名のリクルートが達成できても24名中10名のデータコレクションが未完了ならばこれは大問題、カウントには入れることができない。特にリクルートに収集するデータの中には、入院中の患者本人又は家族に確認すべき項目だけでも約60項目も存在する。項目が多すぎるので、確認途中で患者が退院する可能性だってある。そうなるともうミッシングデータ決定。(この確認項目約60って恐ろしい数、この数は個人的には非常識だと思っている笑。)

 

レッドキャップのにはダッシュボード機能を含む感動するような機能がこれでもかってくらいついてるの。だけど、前述のとおりSW-CRTのデザインがユニークすぎるがゆえに単純にこれらの機能を使用することができない。我々はとにかく2年間データを集め続け、それをデイリーに月単位・エリア単位でモニターし続けたいので、レッドキャップの機能をカスタマイズにカスタマイズにカスタマイズを重ねてテストしているのです。

 

実は他にももっと大変なことがある。

各エリアで、24ヶ月間、毎月24名の患者をリクルートしデータコレクションをした後、これらの患者全員に対して90日後フォローアップを行う。退院90日目に、患者・患者のGP・薬局の3か所に連絡をいれてRAが彼らからひたすらデータを収集するというね・・・。こちらのデータコレクションはもっとおそろしい。

 

つまりRA8名が各地に配属される。

  • シドニーの病院、シドニーのプライマリケア
  • ニューカッスルの病院、ニューカッスルのプライマリケア
  • ブリズベンの病院、ブリズベンのプライマリケア
  • ブロークンヒルの病院、ブロークンヒルのプライマリケア

個人情報保護のため、8名のRAのレッドキャップ業務を細かく制限する必要がある。これがまたややこしいのです。

例えば、RA(シドニーの病院)は自分が登録したデータ以外のデータに関しては入力・閲覧不可。RA(シドニーのプライマリケア)も同様に、自分がフォローアップした患者のデータしか入力・閲覧ができない。ただし90日後フォローアップの目的でRA(シドニーの病院)が登録したデータの中から患者・GP・薬局の連絡先だけは閲覧が許される。

 

自分で書いていてもなにこれーって感じなんだけど、

とにかくSW-CRTのおかげで私はレッドキャップマスターになりつつある。なんならCIの知識を越え始めているらしい(笑)。それも当然か?私はいまレッドキャップしかやってないから(笑)。私ってもしかして暇人?それくらいSW-CRTデザインのせいで、ふつうは使用されないようなアドバンスドの機能を駆使している我々。

 

くるしい。

 

では。