シドニー生活

中年研究者のお話

P2の旅-3 結果が出た

はい。結果が出ました。

結果は後半に書くとして(←なぜ引っ張る?)、今朝の私について。

 

目が覚めたのは7時すぎ。

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いつもならラテを作り終わって、ラテのみながらネットサーフィンしてぼーっとしている時間なのに、謎のスロースタート。

ぼーっとしてるとパソコンから「ピコーン♪」ってメールの受信音がなった。昨夜はパソコンの電源を落とさずに寝たんだっけ。

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いまは研究のデータコレクションを全て終えているから緊急なメールが来ることはまずない。それに私は寝起きだからさ、無視してもいいよね?なんて思いながら、結局携帯からメールを確認。

↓↓↓

メールタイトル

(ジャーナル名) AA-21-○○

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寝起きにジャーナルからの連絡はないだろ!完全に不意打ちである。思わず、ジャーナル名が目に入った瞬間携帯を布団に押し付けた←どうしてもこの流れで見たくない。というか心の準備ができてなかったので見れない。人は動揺するとまずは現実から目をそむけてしまうのである。。。

 

状況を推測。

ジャーナルからメールが届く=エディターがリジェクトの決断をした

この構図で間違いない。第一候補のジャーナルだから、これは当初の予定通り(←?)の結果なのだ。となると見たくない理由はただ一つ!エディターのコメントである。

 

まずは論文をジャーナルに提出した後のプロセスを復習。サブミット後のプロセスはジャーナルによって異なるらしいが、周りの情報をまとめると下記の通り

1ジャーナルのスタッフが原稿を受け付け(規定通りのフォーマットかアプリケーションを確認する)

2エディターへ原稿が振り当てられる

3エディターが査読へまわすかリジェクトかを決める

4-a査読に回る場合はステータスが「レビュアーを探してます」になる

4-bリジェクトの場合はジャーナルから連絡がくる

 

4-aはP1の時に経験済みでステータスはこんな感じに変化していった↓

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4-bリジェクトは今回は初めての経験。友人いわくここが厄介らしい。

リジェクトのメールは、エディターのコメントが含まれている場合と、コメントがない場合の2種類。友人らの話を聞く限りでは、リジェクトメールにはエディターショートコメントが含まれていることが多そうだ。

エディターのコメントはないならないで悲しい。やっぱり何かしらのコメントがあればそれを反映させて次のジャーナルに挑めるから、論文の質も上げることができる。

つまりエディターのコメントがある場合が厄介!コメントがあれば嬉しかと言われればそうでもないらしい。かなりの高確率でエディターのコメントを読むと「はらわたが煮えくり返る」らしい(笑)。「はらわたが煮えくり返る」を経て「極度の悲しみ」に着地。「すぐに次のジャーナルへ投稿するぞ!」って気分になるまでに時間を要すこともある(笑)。

はらわたが煮えくり返る:言葉に言い表せないほど腹が立つ。激しい怒りにどうしても耐えられないこと

 

話は長くなってしまったけど、これが私が寝起きで不意打ちに届いたP2の結果をすぐに見ることができず携帯の画面から目を背けた理由。

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エディターのコメントはけちょんけちょんに書かれるのが通例なのだということを知っていたのです…。それに私は社会人としてのキャリアを止めてまで研究未経験で研究の世界に足を入れました。かなりの覚悟をもってお金と時間を割いてここまできたけど、この業界に関しては何から何まで初めてづくしで、経験がなさすぎてまだまだ打たれ弱いという弱点がある(笑)。気分の浮き沈みがおそろしいほどあります!

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結果はリジェクト。結果は想定範囲内だしあとは現実を向き合うのみ。

 

さて、本題へいくか。。。

これが人生初のリジェクトメール↓

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これはチーフエディターからのメールでおそらくテンプレ。

このメールから分かったことはこのジャーナルの採択率は15%だそうです!

 

続いて、実際にリジェクトの決断を下したエディターのコメント↓

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やばい!

褒められてる!

リジェクトなのに褒められてるなんてことあり得るの?こんなケース聞いたことないわ!

I have read your paper carefully and with interest. 

→エディターが興味を持って読んでくれたのだ!嬉しい!

普通はアブストや原稿をサラ~って読んでさっさとリジェクトするはずなのに、レビュアーが読んでくれたなんてこれは想定外でした!

You have covered an interesting topic and I appreciate the time and effort that has gone into the study and preparing the paper.

→研究のテーマが興味深いと共感してもらえたのも嬉しい。P2は情報量が多いから読むのも大変だったと思う。ササササ~と書けない内容だとわかってくれたのが嬉しい。

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Your methods are rigorous and the study has been well constructed and is well presented. 

→これは研究者として一番名誉なコメント!今回のコメントの中で一番嬉しいパート!研究はメソッドが命だからね。質が低い研究から得られた結果はたとえ良い結果でも意味をなさないことは十分に学んできたからさ。そしてメソッドも研究マネージメントもデータ描写もどれも良く出来ているといわれた! 

Unfortunately, I do not feel that we can give your paper adequate priority in (ジャーナル名). Despite the methodological strengths, the message is not likely to influence practice amongst our readership.

→これがリジェクトの理由。

私の解釈は「非常に質が高い研究なんだけど、これはただのデルファイ変法を用いた研究。これを実際に臨床に持ち込まなければインパクトは少ない。よって読者の目を引かない。」ということだと思いました。

これ最高のコメント!

それにコメントは想定範囲内だ!

その通りでぐうの音もでない。

以前にレビューをしているので、確かにこの分野の研究はこのステージ(Delphi)でストップしている研究は世に多く存在していることを私は知ってます。多くの研究者はフィールドを持っていないため、研究者のコネクションを通してやれるところまでやって終了してしまいます。現場の医療従事者も暇ではありません。研究より日々の業務や患者のケアが優先。だから現場からの理解を得て研究に協力してもらうのは大変厳しいのです。特に運用試験は現場の負担が多いから、アンケートのように一瞬では終わらないし…。

私はこの現状を知って居たのでP2を担当するエディターに「作っただけでしょ?作るだけならだれでもできるよ?」って思われるのが嫌で、防御線をはって当初P2の中に「運用試験へ現在進んでいる」と入れ込んだのですがスーパーバイザーは何のコメントもなくさらっと箇所を削除してたの(笑)。そして私はリバイスしたP2に再び「運用試験におわせ」を入れ込んだのですが再び削除された(笑)。

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で察したのですよ、スーパーバイザーが運用試験におわせ(P3におわせ)のパートを意図的に削除していることを。

ポンコツの頭でいろいろ考えた結果、P2はP2のことだけを記載するのがマナーなのでは?という結論にいきつきました。だってP3(運用試験)のほうが明らかにインパクトが大きい。私がP2のエディターなら「P2より運用試験のP3をうちのジャーナルへ投稿してください」って思うもの。

ということで運用試験におわせを諦めたわけではなく、そのスタイルを変えて影響がない程度に運用試験におわせを入れ込んでみました←懲りてない?(笑)

影響がない程度というのは、コンクル―ジョンの最後の行に「今後の展開として○○のような研究が必要です」って感じで、特に意味もなくサラ~っとありがちなフレーズを加えたのです。

The measurement properties would be further evaluated for feasibility, applicability, room for improvement, sensitivity to change, predictive validity, acceptability, and implementation issues.

そしたらスーパーバイザーからとうとうコメントがきた!

アブストのコンクル―ジョンに対して

→This is true but may make the editors not want to publish this manuscript

本文のコンクル―ジョンに対して

→This is true but I think we need to finish on a stronger positive note – this sentence focuses on what’s missing from the current paper.

ようやく本当の意味でP3におわせがないほうが良いことを理解した(笑)。こんな時、やっぱりスーパーバイザーの経験からくるアドバイスはありがたいなと。

いま思うと他にもスーパーバイザーの言動から学べることはありました。このジャーナルにサブミットしたいと私が言い出したときスーパーバイザーから「このジャーナルにデルファイ変法を用いた研究があるか調べてみろ」と最初に言われたのです。調べたところ、結果は3本。たったの3本しか掲載されていなかったのです。言い訳みたいになってしまいますが、良いジャーナルにとってはデルファイスタディーがプライオリティ高くないのは当然であり、これが理由でリジェクトは全然ありえることだったのです。嬉しい誤算は、エディターが論文を読んでくれて、トピックもデザインもデータの表現も含め気に入ってくれたこと! 

 

 

これにてP2の旅は一旦終了。

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結果はリジェクトでしたが、気持ちを切り替えて第2希望のジャーナルへ投稿に向けて準備を進めたいと思います。

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では。