シドニー生活

中年研究者のお話

達成感

本日はストライキなのでWFH。

最高のタイミングのWFHだ。昨プロジェクトが開始され、私は自分の仕事をすべてやっつけてから帰宅したので、今日は休日のようなもの。

 

朝はいつも通りラテを作りソファーで少しまったりしてから家事をすませる。その後、ランニングウエアに着替えダーリングハーバーへ。

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30分ジョギング、残りは歩き。

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MECCAでコーヒー豆を買って華麗に帰宅。

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美しい景色をみながら、この景色が当たり前だと感じないように自分に言い聞かせてました。いまの仕事は大変だけど、仕事環境・生活環境どちらも気に入っている。だけどこの暮らしは簡単ではない。いつまで続けられるのかもわからない。こんなとき最後に行き着くのはいつもおなじ、自分の能力不足についてなのだ。ポンコツな頭と性格をなんとかしたい。

 

卒業後初めて雇ってもらったのがボスがPIの現プロジェクト、ミリオンクラスの助成金を獲得した大規模なスタディーでした(←突然だね!)。大規模すぎるがゆえ(4つのPHNで前向きな研究を2年間)、ガバナンスに時間がとられ、2022年9月→2022年11月→2023年2月→2023年3月と3回の延期を経てようやく開始された。色々あったけど、多くの学びと経験をあることができ感謝しかない。約半年はボランティア活動になったけれど文句も後悔もありません。

 

この数日間バタバタで、正直あまり記憶がない時期もある。脳細胞が半死、メンタルブロックがあって英語を見聞きすることもできなくなった。英語を口にするなんてもってのほか。40過ぎてこんなでいいのかと落ち込んだりもした。私の仕事はオーストラリアで研究することなので少し特殊だけど、自分のためにもブログに気持ちをのこしておく。いつも通り中身はないけど、愚痴?達成感?なるものを吐き出してすっきりしたい今日この頃。

 

年が明けてからボスとPMへ「プロトコルの詳細を決めないとREDCAPは完成しない」「REDCAPが完成しないとダッシュボードも完成しない」と事前に伝えていました(←当たり前なんだけどね)。また、REDCAPが完成したら、REDCAPのテスト・ダッシュボードのコード修正が必要になるので「REDCAP完成から約2,3週間後に研究は開始できる」と伝えていた。私には他にもフルタイムの研究もあるし、日本の研究、執筆、学会準備もあるので、これが私の能力とスケジュールの限界。それなのに全然だめ。

 

2月17日金曜「randomisasationが2月18日月曜に行われる」と聞いた。

2月20日月曜、randomisasationの結果を聞いた。4クラスターが決まったことで進められる作業もあるので、私はその日中にコードを一気に修正。

2月21日火曜、「研究開始日は3月1日」と告げられた。加えて「データコレクションはREDCAPが完成次第行う」とも。

 

開始が決まり嬉しかったのが1番(なんでもいいからさっさと始めてくれよと内心おもっていたので)。2番は開始まで1週間切ってるけど?って疑問(あれだけシステムってものは今日明日で準備できるものではないと伝えていたにもかかわらず)。

 

これだけ聞くと、私の仕事待ち(REDCAPの完成待ち)と受け取ることもできる。性格的に、私のせいでみんなを待たせるのは嫌なので、2,3週間かかる仕事をなんとか1週間で追わせようと頑張ったところ、気力体力が追い付かず脳細胞が半死した。結果的になんとか予定の1週間遅れ3月8日に終わらせることができた。

そもそも私が自分の仕事を1週間で終わらせたくてもPMがREDCAPアイテムを確定しない(忙しくて見てくれない)から、私の仕事はいつまでたっても先に進めなかった。開始日が決まった以上はもう待てないので、とうとうプロジェクトのIT・解析担当者に相談、アンクリアーな項目はぶった切るという方針を2人で固めた。PMにREDCAPを私の目の前で使わせて、PMが、わからない・後でしか決められない、といった項目は容赦なく削除する事を伝え、その場でいるものいらないものを整理していく。半ば強制的にREDCAPを完成させた。完成日は2月27日月曜。

PMも直前なのでようやく腹をくくり、大きな決断をいくつかしてくれた。例えば「GPやAPとのコミュニケーションにREDCAPを使わない」という決断。当初は全て研究参加者とのやりとりは書面でマニュアルで行う予定だったのだけど、私がREDCAPの機能を応用しこの作業を全てオンライン化することに成功(詳細は割愛するがセキュリティーの問題はないのでご安心を)。リンクをGP・AP へ送り、彼らはそのリンクからREDCAPへアクセスし同意書・患者情報REDCAPのをダウンロード・アップロードするというもの(やり取りは全てREDCAPへ保存される)。ただ直前になって、各PHNが構築した独自のクラウドサービス(退院時サマリーがクラウドへ保存されGPやPHNのスタッフが患者情報をクラウドからダウンロードできるシステム)を今回特別に使用させてもられるかも?という説が浮上。この研究は制度に対する介入研究なので、PHNに沿ったやり方で研究したほうがいいと個人的には思うし、いずれにしてももうタイムリミットなのでその選択肢はない。PHN のクラウドを使用する案が出てから3ヶ月待ってちゃんと決めれなかった彼らの力不足。こんな感じでとにかくPMに決断をせまりなかば強引にREDCAPを完成させた結果、1週間で仕上げに入ることができたわけ。何とも言えない辛い作業でした。

 

たかがデータコレクション用のレッドキャップの準備の何が大変か?それは研究デザインが特殊だからの一言につきる。

研究参加者は患者とその患者のGPとAPの3種。研究期間を24期に分け、ピリオド単位で患者・GP・APをリクルート実施し、退院日を0日とし彼らへ90日後のフォローアップも行う。

研究は4クラスターあり、各クラスターがコントロールとインターベンションの両方をもつ。各クラスターのコントロールとインターベンションの期間は異なる。

これはPMが作ったテーブル↓

インターベンションへ移る前に、co-adaptationtransitional periodが2期、transtional period が2期ある。co-adaptationtransitional periodでは、PHN内のGPを集めてワークショップを開催。そこでインターベンションで行うべき内容(介入内容)を決める。つまり研究開始時には介入内容が確定していないということ。tranditional period はコントロールからインターベンションへ移行するための準備期間。

 

ちなみに、統計家の中にはsteped wedge CRTが嫌いな人もいるそうです。実際にボスはこの解析ができる人を探す際、学内でも著名な統計家にアプローチしたらこっぴどく文句を言われ『steped wedge CRTはデータをこねくり回しているだけだ。大っ嫌いだ。』とキッパリ断られたそうな。

大人って大変( ゚д゚)

 

いつものように話がそれていったけど、私の仕事に話をもどすと「私の仕事待ち」ともとれる発言があったのだけど、実はそうでもなかった。よくよく話を聞くと、

「3月1日開始」と決めたのに、2月21日月曜の時点では、4クラスター中、1クラスターも研究開始の承認が下りてないことが判明・・・。え?承認が下りていないのに3月1日開始ってどういうこと?そんなことってある?

「だからあなたはプレッシャーに感じなくていいからあなたのペースで仕事をしてね」と言われても、、、この状況が理解できない。なぜ彼らはこの状況でよく正気でいられるのかと・・・。

「で、いつ承認おりそうなん?」

「わからないのよ。あと2週間くらいかるのかも。」

はぁ?である。

普通はランダマイズが終わり、承認がおりて、すべての準備がととのったら開始だよね?承認下りてない、データコレクションの準備できていない、なんならRAは2週間前にようやくきまったところ、これでよく3月1日に開始すると言えたものだ。よく正気でいられるなと。私がPIでもPMでもこれは耐えられない。

ここだけの話、CIも言ってたけど「どこかねじがぶっ飛んでないとこんなことにはならない」って。なんならPIはこのグダグダな不安定な状況の中でもう次の研究のアプリケーションの話をすすめてるし。そう、私のボスは5本ちかくネジ外れてると思う。

 

最新情報もいれると、

2月20日月曜、randomisasationが終了

2月21日火曜、研究開始日が3月1日に決定

2月28日火曜、クラスター4(north sydney)の承認がおりた~

3月6日月曜、クラスター2(newcastle)の承認がおりる~

3月8日水曜、クラスター2と4がデータコレクション開始できた~

私は3月4日にクラスター4のRAから「3月8日に開始したい」とリクエストをいただいたので、頑張って3月8日にREDCAPが使えるように準備した。クラスター2と4が無事に開始し、いまはクラスター1(south brisbane)の承認待ち。

 

え?

クラスター3は?

そんな野暮なこと聞かないでくださいよ(笑)

 

クラスター3はそもそも研究に参加しない可能性が高い。いまPIとPMが代わりになるPHNと交渉中。システムへの介入研究にはシティーとリモートエリアの両者必要なのに、肝心なリモートエリアが辞退寸前。この一年半の準備は一体何だったのか、、、

ボスの希望的観測によると、クラスター3は3月ではなく6月に開始予定。

もし6月までにクラスター3(リモートエリア)が開始できないと、クラスター4のコントロール期間とインターベンション期間が変更になります(笑)。

もうね、大人って大変ね!

(´・Д・)」

 

愚痴が止まらないので、最後は良いことでしめたいと思います。

昨日REDCAPを稼働させ、午後はPMに頼まれごとを引き受けた。急遽インシデントレポート用Safety issues and breaches logのデータベースをレッドキャップで作成することになっあ。急遽追加された仕事も19時半に仕上げ華麗に帰宅。

 

帰宅時にPMへ完了したことをメールで報告。そして、エラーがでたらすぐに対応するからいつでも声をかけてくれと伝えておいた。

Thank you so much XX!!

I greatly appreciate your professionalism and commitment to this work, and all the hours you have spent devising and checking the logic to ensure it meets the needs of the project and data quality requirements. I certainly would not have been able to do this work to this level.

I will email you if we encounter any issues.

Kind regards

M

おー、感動。

(ノ_<)

PMがこれだけ評価してくれるとは。PMにとって私は心配の種だったのに今では信用を獲得するところまでこれた。英語をカバー出来るだけの仕事ができたってことかな。

 

初めてPI, PM, CIと初めて4人でZOOMミーテイングをした際、あまりにも私の英語がとんちんかんだったのPMは私にまくしたてた(笑)。ボスとCIが慌てて私のフォローのまわってくれてPMをなだめるという地獄絵図。「あなたねー、研究とはね・・・」「研究におけるデータマネージメントとはね・・・」「エシックスとはね・・・」とにかく基本的なことねひたすら説明された。

その後も、二人でウィークリーミーティングを開始した最初の数回、研究のお作法的なことを淡々と説明(お説教?)され、言い返すことなく私もじっと聞くしかなかった。ようは私が片言なので『この子大丈夫?』って思われてて何一つ取り合ってもらえなかった。『あなたは研究におけるデータマネージメントを全然わかってない』と何回言われたことが。今になると、研究をわかってないのはPMであるのはいうまでもない。

あるときから「私があなたの質問に答えていく形にする」と言い、捲し立てなくなった。そこから徐々に私の話に耳を傾けるようになり、そこからここまでもってきた。私の知識、経験、検索スキルを信じてくれるようになっていくまで大変やった、、、推測にしか過ぎないけど、全く私を信じられないPMに対してボスが裏で何か私をサポートするような発言があったのでは?と思っている。そうじゃなきゃ、私の話を聞くだなんてこと起こり得ないもの。

 

そんなこんなで、地獄絵図だったとこから、

I greatly appreciate your professionalism and commitment to this work, and all the hours you have spent devising and checking the logic to ensure it meets the needs of the project and data quality requirements. I certainly would not have been able to do this work to this level.

ここまで言ってもらえるようになった。これは自分の仕事に対する達成感とは違う達成感。完全ローカルのなかでローカルのための仕事を片言の英語でこなすことの厳しさを体験し、最後は相手の信頼を勝ち取るというところまで持っていけたのだ。たまたま結果オーライ。

海外で研究職をやるということは、鋼のメンタルと圧倒的なローカルの上回る能力がないとダメ。この現実が辛すぎる。これから私は一体どうなっちゃうのかなぁ、、、

 

ながーくなったので終わります。

(´・Д・)」

では。